SESAMIが取り組む課題とプログラムの概要
グローバルな経営環境の中で、日本企業の健全性と競争力を高める必要があります。卓越したものづくり・技術イノベーション能力とその基盤となる日本型のビジネスシステムを堅持する一方、利害関係者と協働する、グローバル資金調達、企業活動の積極的な国際展開も必要です。本プログラムが取り組む解決すべき一つ目の課題は、日本では、起業、企業内新事業創造、戦略的企業連携等の「創造」が不活発で、また、高度化、複雑化、グローバル化した金融システム、企業ガバナンスについての専門家が不足していることです。 二つ目の課題は、経済的に実行可能で、他の企業、環境と地域社会との「共生」を図るサステイナビリティ・アライアンス経営が日本では展開されておらず、その専門家が不足していることです。グローバル経済の金融化による短期志向が世界的な経済危機を招いている現状では、素材・エネルギーの効率的な使用、環境汚染物質の削減、地域社会と共生するグローバルサプライチェーンの構築等の中長期的なサステイナビリティの考えを導入することが喫緊の課題であると考えます。SESAMIプログラムは、この2つの課題を克服するために、共生の経営学と創造の経営学が融合した戦略的共創経営という研究教育領域を定義し、日本のビジネスシステムの強みを継承した形でのグローバルスタンダード(国際標準)の構築を理念とし、新規事業を「創造」し、「共生」を推進する能力を兼ね備えた戦略的経営の専門家(戦略的共創経営人材)を グローバルな観点から養成することを目的とするものです。
SESAMIが養成する人材像とプログラムの特色
SESAMIプログラムが養成する戦略的共創経営人材とは、創造経営と共生経営についての高度専門知識と戦略経営についての体系的な理解と分析能力を備え、経営理論を企業活動の国際展開の実践の場で、 仮説形成と検証を経て再構築できる実践的課題解決能力と理論構築能力、国際的コミュニケーション能力、複数の組織間利害関係を取りまとめるリーダーシップ能力を有するMaster/Ph.D.レベルの専門家です。このような特殊で高度な能力を有する人材を養成するために、プログラム自体も次のような新規で独自なイニシアティブと戦略的アライアンスに重点を置くものとします。
授業科目、研究
2017年度より、博士課程前期は10月開講となり、1年半で修了することが可能です。博士課程は、従来通り4月開講です。博士課程前期の秋学期および春学期には、海外の大学/研究者と共同ですべての科目が英語で提供され、体系的な知識を育成するとともに、4月以降は神戸大学の教員の指導のもと、修士論文にも取り組みます。博士課程後期では、博士課程前期で修得した能力を深化、洗練されたものとします。授業科目、授業を担当する海外研究者の所属大学・研究機関などについては、「Faculty」および「Schedule」メニューの最新情報をご参照ください。
- 授業科目
- 創造経営
アントレプレナーシップ、企業内事業創造、コーポレート・ファイナンス、ベンチャーキャピタル、財務会計 等 - 共生経営
サステイナビリティ経営、環境会計、グローバルサプライチェーン管理、サービサイジング 等 - 戦略経営
経営戦略、国際経営、組織行動、人的資源管理、マーケティング、ビジネス・エコノミクス、統計学、 リサーチ方法論 等